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2011年7月15日

【違い】シンチレーション方式の放射能測定器とガイガーカウンター

【一番の違いは「精度」】

私はガイガーカウンターやシンチレーション方式の放射線測定器やを所有しています。実際に両方を使用した経験を踏まえて、両者の違いを整理しておきたいと思います。以下、個人が家庭用の放射能測定器を購入したり使ったりする場合に、最低限知っておく必要のあることだけに的を絞って書きます。

結論から言うと、もっとも大きな違いは「精度」一説にはシンチレーション式の方が精度が10倍もいい、と言われます。ガイガーカウンターが0.1までなら、シンチは0.01まで測れる、ということですね。


【なら、シンチレーションの大勝利?】

とはいえ、放射線量測定器の販売・売り上げでは、シンチレーションが圧倒的に売れているか、というとそんなことはまったくありません。ガイガーカウンターの方が売れているくらいです。なぜか?シンチレーション・サーベイメーターは高価なのです。50万円、100万円といった値段がざら。家庭用のものでも通常10万円~15万円ということで、気軽には購入できない価格帯なのです。

結果として、シンチレーション方式の放射線測定器で売れているのはDoseRAE2という製品。これ、5~7万円で買えます。しかし、安いものには安いなりの理由があります。計測に5分~10分もかかるのです。これ、ちょっと時間がかかりすぎですね。かといって、次の人気機種、HORIBA PA-1000(radi、ラディ。堀場製作所)は、価格が13万円前後なんです。こうなると、多少精度は落ちても、安いガイガーカウンターを買おうか、ということになるわけです。


【構造的な違い】

ガイガーカウンターは、ガイガー・ミュラー管(GM管)を使って計測します。では、GM管方式とシンチレーション方式の違いは何かというと、放射線を感知するのに、ガスを使うか、結晶を使うかの違いになります。GM管はガス、シンチは結晶なんですね。

GM管方式では、ガスを入れた筒の中に電極をつけ、高い電圧をかけます。放射線が、管内のガス分子を電離させ、流れたパルス電流の回数をカウンターで数えるのだそうです。

(参考)
ガイガー=ミュラー計数管 - Wikipedia

一方のシンチレーション検出器は、ヨウ化ナトリウムの結晶を使います。ヨウ化カリウムは、放射線が飛び込んでくると光を放ちます。放射線のエネルギー量が大きければ大きいほど、光も強くなります。その強さを調べることで放射線を計測します。検知する部分の面積が同じだとすると、GM管の10倍検出効率がいいとされています。

(参考)
シンチレーション検出器 - Wikipedia


【シンチはガンマ(γ)線、ガイガーはガンマ線とベータ(β)線】

シンチレーターでは、通常ガンマ線を計測します。一方のガイガーカウンターは、ガンマ線だけでなくベータ線も計測することができます。

日立アロカの社員さんが週刊誌アエラでコメントしているのを読んだら、個人での計測は、γ線のみで十分というお話しでした。ベータ線も測れた方がいいわけですが、β線の測定は専門家でも難しいのだとか。

確かに、ガイガーカウンターで地表を計測した場合、誤った測定値が出やすくなる傾向があります。ですが、terra mks-05(テラ・黒)のように、誤計測防止のための装置がついているものは誤った計測値が出る心配がありません。しかしそれ以外のガイガーの中には、地表ではアルミ板などでベータ線を遮蔽する必要のあるものが少なくありません。そうしないと、地表面では間違った測定値(本当の線量の数倍の数値)が出ることがあるので、気をつけなくてはいけません。