4号機倒壊で、なぜ日本終了なのか。
そのメカニズムは、いったいどうなっているのでしょう。
「福島第一原発の4号機の燃料プールが倒壊した場合、東京の住民まで避難する必要がある」としている代表的な専門家は、アーニー・ガンダーセン博士と小出裕章先生(京都大学)です。
小出先生については、そのメカニズムまで詳細に説明した資料が見当たらないようです。しかし、ガンダーセン博士は、著作で説明をしてくれています。
今回はその内容について、メモに残しておきたいと思います。
以下は、著作『福島第一原発 真相と展望』(集英社)のp.71~p.73で説明されていることの要約です。
【ポイントは、「水で消火できない」こと】
ガンダーセン博士は、4号機の燃料プールの冷却機能が失われれば、核燃料が発火。いったん発火が起きた場合、もはや水では消火できないと指摘しています。
水をかけると、事態が悪化するというのです。水から発生した酸素がジルコニウムを酸化させるうえに、水素が発生して爆発する、と述べています。
結果として、10~15年分の核燃料が、大気中で燃えることになります。「取り出して間もない、完全に近い炉心が入った使用済み核燃料プールで起きる火災を消し止める方法」は、誰も研究したことがないのだといいます。
【武田教授は、真っ向から否定】
この4号機倒壊による大惨事について、同じく原発の専門家である中部大学の武田邦彦教授は、自身のブログで、繰り返し否定しています。
最新の記事で、武田先生は、次のように反論しています。
もし(4号機の燃料プールが)大規模に崩落したら、建物の下には2万トンの汚染水があるので、それに接触するか、新たに投入される水で冷却される。もしプールに穴が空いたら、水を追加すると考えられる(現在の1号機から3号機と同じ状態になる。
もともと、日本の原発は燃料棒を抱えていてそれがプールに入っているので、どの原発も4号機と同じ危険性を持っている。4号機は建物が一部破壊されているが、他の原発も震度6以上の地震に見舞われたら同じ状態になる。
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以上のことから、福島原発の危険性は低い。
・武田教授のブログ:福島原発の現状と危険性・・・4号機も冷えて大丈夫 より。
(2012年4月16日)
http://takedanet.com/2012/04/post_0bf6.html
4号機で冷却機能が失われた場合、日本だけでなく、世界に莫大な損害をおよぼすと考えている人が少なくありません。それほど重要な問題ですので、ガンダーセン博士や小出先生と、武田先生とで、速やかに公開討論をやってほしいのですが。
(参考)
・アーニー・ガンダーセン博士 プロフィール
1949年生まれ。原子力技術者。エネルギー・アドバイザー。レンセラー工科大学大学院修士課程修了。
エンジニアとして全米で原子炉の設計、建設、運用、廃炉に携わり、米エネルギー省の廃炉手引書(初版)の共著者でもある。
原子力業界の役員を務めた後に、妻のマギーと設立したフェアウィンズ・アソシエイツは、原子力発電に関する様々な調査分析や、訴訟・公聴会における専門家としての意見提供を行っている。
以上、著作『福島第一原発 真相と展望』(集英社)より。
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