【福島第一原発、7つの謎】
福島原発の7つの謎について、2012年5月時点の情報をまとめておきたいと思います。
謎というだけあって、明確な答えが出せるものはありません。「ここまでの情報の整理」ということになりますが、ご容赦ください。
原発の専門家であるアーニー・ガンダーセン博士の主張については、主に著書『福島第一原発 真相と展望』(集英社)からの引用です。
1、4号機が倒壊したら、本当に日本終了なのか
ガンダーセン博士は、4号機の燃料プールの冷却機能が失われれば、核燃料が発火。いったん発火が起きた場合、もはや水では消火できないと指摘しています。 水をかけると、事態が悪化するというのです。水から発生した酸素がジルコニウムを酸化させるうえに、水素が発生して爆発する、と述べています。
結果として、10~15年分の核燃料が、大気中で燃えることになります。「取り出して間もない、完全に近い炉心が入った使用済み核燃料プールで起きる火災を消し止める方法」は、誰も研究したことがないのだといいます。
詳しくは、当ブログの次の記事でまとめています。
・【謎】4号機倒壊で、なぜ日本終了なの?(ガンダーセン博士)
2、東京の住民も、移住する必要があるのか
ガンダーセン博士によれば、上記の理由のため、4号機が倒壊した場合には、東京の住民も避難した方がいい、と述べています。博士の著書には、次のように書かれています。
東京の友人には、4号機が倒壊したら即座に逃げるように言っている。(p.72)
また、東京都民の健康被害について、博士は次のように述べています。
東京で検出されたセシウム134、137の「1平方メートルあたり1万ベクレル」とは、すさまじい量の放射能。首都圏では、長期的にがんや循環器系の異常が増加するだろう。(p.104)
3、3号機の爆発は、核爆発だったのか
ガンダーセン博士は、著書の中で、3号機の使用済核燃料プールでは、即発臨界が起こったと考えられる、と述べています。(p.63)
3号機のプールの燃料自体が爆発し、外部に大量の放射性物質(燃料のカケラ)が放出された、と主張しています。
根拠としては、youtubeなどにアップされている3号機爆発の映像や、原発から2キロ離れた場所で、燃料のカケラが発見されたことなどを挙げています。(p.64)
4、内部被曝(被ばく)は、どの程度深刻なのか
ガンダーセン博士は、次のように述べています。
放射性物質による被ばくの健康被害には、ここまでなら安全という「しきい値」(閾値、しきいち)は存在しないと考えられる。(p.96)
福島から送られてきた車のエアフィルターは、放射性廃棄物として破棄しなければならないレベルまで放射能汚染されていた。(p.101)
5、4号機は、なぜ爆発したのか
4号機の爆発については、東京電力は、3号機の水素が配管で4号機に流れて爆発した、という予測を発表しています。しかし、配管はすでに分断されていたという主張があり、謎が残ります。
6、4号機は、傾いているのか
海外のマスメディアなどが4号機の傾きを指摘しています。しかし、東京電力は、会見の中で、「4号機は傾いていない」と主張しています。
以下、東電の会見からの引用です。
昨日ご報告させていただいた4号機の使用済み燃料プール、あ、失礼いたしました、 ウェル、原子炉ウェルの、えー、いわゆる、うー、 5階のオペレーティングフロアと、ウェルの水面の差の測定でございます。 えー、2月の下旬に建屋が傾いているのではないかという事で、 その、同じような測定をいたしましたけれども、 2カ月ぶりに同じ測定を行っております データが現在評価中でございますけれども、 特に2月末の測定結果と、大差がないという状況でございますので、 引き続き建屋が水平であるというふうに判断出来るというふうに考えております。
以上、東電会見(2012年4月12日分のustream)より。 http://www.ustream.tv/recorded/21781161
*当該コメントは、07:40くらいから。
7、この事故で、震災後20~30年の間に、どの地域で何人が命を落とすのか
ガンダーセン博士は、福島原発事故によって、今後20年間の間に、100万人がガンになる、と警告しています。
詳しくは、当ブログの次の記事をご覧ください。
・「福島第一原発の影響で100万人がガンに」(ガンダーセン博士)
【関連記事】
・【まとめ】「福島第一原発 真相と展望」アーニーガンダーセン(集英社)