私は元中小企業診断士です。「元」というのは、更新をせず、資格が失効してしまったためです(汗) 今回の記事では、実際に試験勉強をしたり、診断士だったときの経験も踏まえて、資格や試験、勉強法についてまとめました。
■なぜ資格を取得したのか
現在はフリーランスですが、サラリーマンをしていたときにマーケティング関連の仕事をして、マーケティングや企業経営に興味を持ちました。診断士の勉強内容は、まさにマーケティングと経営なので、この資格をめざすことにしました。将来的に独立したいという気持ちもありました。
■中小企業診断士とは
診断士は国家資格。根拠法は「中小企業支援法」です。
(参考)
・wiki:中小企業診断士
診断士になるには、次の2つのルートがあります。
・1次合格→2次合格→実務補習or診断実務従事
・1次合格→養成課程(大学や大学院など)修了
(参考)
・中小企業診断協会:どうしたら中小企業診断士になれるの?
私の場合は上の方のルートになります。働きながら資格取得をめざす場合、「1次合格→2次合格→実務補習or診断実務従事」のルートが多いのではないかと思います。
■養成課程の受講費用は?
たとえば、日本マンパワーの登録養成課程(2023年度)の場合ですと、養成課程の受講期間と学費は次のとおりです。
〇受講期間
2023年3月18日(土) ~ 2024年3月17日(日)
※原則、火曜日・木曜日の夜間および土曜日
44万円(税込)
〇受講料
231万円(税込)
(参考)
・日本マンパワー:登録養成課程 募集要項
■平均年収は800万円~1000万円?
@typeという転職サイトによれば、診断士の平均年収は800万円~1000万円なのだとか。
(参考)
・@type:年収の裏側的稼げる資格ベスト10
中小企業診断士の年収について、くわしくは当ブログの次の記事をご覧ください。
・【年収が高いのはどっち?】 公認会計士 vs 中小企業診断士
年収の多い資格については、次の記事でまとめています。
・【頂上決戦】 儲かる資格ランキング 【高収入の職業・資格】
■診断士のメリットは?
診断士のメリットだと思うのは、国内の主要な企業の人と知り合いになれたことや、短期間に集中的に勉強したことで、企業経営やマーケティングの知識が体系的に身に付いたことなどがあります。また、名刺に「中小企業診断士」と書き込むことで、「この人は勉強熱心な人なのだなぁ」と思ってもらえたこともよかった点です。
診断士のメリットとデメリットについては、以下の記事で取り上げています。
・【体験談】 中小企業診断士のメリットとデメリット
■企業内診断士が多い?
私が接した限りでは、いわゆる「企業内診断士」が多かったです。企業内診断士とは、資格取得後独立せずに一般のサラリーマンやOLとして働き続けている人のこと。大企業の役職者が少なくなく、それを考えると、「平均年収800万円~1000万円」という数字は信ぴょう性があるように感じます。
wikiによれば、診断士として独立している人の割合は27・6%(2005年12月時点)。
■資格取得後の活動は?
診断士として登録が終わったら、多くの人が中小企業診断士協会という組織に属します。協会内にはさまざまな勉強会などがあります。
私の場合ですと、受験関係の出版社に勤めていたこともあり、東京の出版関係の勉強会に所属していました。2か月に1度ほど勉強会があり、そこでは、業界の最先端の動きを知ったり、大手の出版社の方などと交流したり、情報交換したりすることができました。
業界内のネットワークが自然に構築できるのも、診断士のメリットの一つだと思います。
■試験の難易度は高め
学ぶことが多く、試験の難易度は高いです。合格率については、2022年度の場合、1次試験が 28・9%、2次試験が 18・7%でした。
過去5年間の合格率の推移については、当ブログの次の記事でまとめています。
・【過去5年間】 中小企業診断士 合格率まとめ 【難易度】
■試験日程
2023年度の試験日程は次のとおりです。
〇第1次試験
・試験日 2023年8月5日(土)・6日(日)
・合格発表日 2023年9月5日(火)
〇第2試験
・筆記試験日 2023年10月29日(日)
・口述試験を受験する資格を得た人の発表日
2024年1月11日(木)
・口述試験日 2024年1月21日(日)
・合格発表日 2024年1月31日(水)
試験日程については、当ブログの次の記事でまとめています。
・中小企業診断士試験 【申し込み・試験日程】
■試験科目
〇1次試験
経済学・経済政策
財務・会計
企業経営理論
運営管理
経営法務
経営情報システム
中小企業経営・中小企業政策
〇2次試験
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例
■科目合格制度
中小企業診断士の科目合格制度では、1次試験不合格でも、60点以上の科目が科目合格になります。科目合格した科目は、以後2年間免除申請が可能です。
科目合格制について、くわしくは次の記事をご覧ください。
・【落とし穴】 科目合格制のデメリットとは? 【中小企業診断士】
■受験資格
受験に際して、年齢、学歴等に制限はありません。
■更新研修
診断士の資格は5年ごとに更新手続きが必要です。更新のためには、更新研修や、診断業務(or実務補習または養成課程の実習の指導)に取り組むことが必要です。
(参考)
・中小企業診断士制度の概要(PDFファイル)
■独学で合格できる?
勉強会やイベントなどで数多くの診断士と接しましたが、独学で合格したという人にはあまり会ったことがありません。
これは高校・大学受験でも言えることですが、難易度が高い目標であればあるほど、合格者には塾や予備校の出身者が多くなるもの。「ベテラン講師」や「出題傾向をとらえたテキスト」といった強力な武器に対抗するのは至難のワザです。
私の場合は、通信教育と資格学校を使いましたが、取得までに3年かかりました。1年目に1次試験に合格。その際は、通信講座に申し込み、市販の参考書や問題集も買い込んで勉強しました。2次については、スクールにも通いました。当時は静岡県に住んでいたのですが、土日を利用して新幹線で東京まで通学しました。
私自身は通信講座やスクールに通うのがいいと考えています。ですが、当ブログでは、独学で勉強したいという人のための勉強方法などもまとめています。
・独学で中小企業診断士試験に合格するには
■勉強法
私は通信講座とスクールを使いました。中小企業診断士試験は難易度が高いので、できればきちんとした通信講座やベテラン講師に頼った方がいいと思います。
診断士試験を突破するためには、次の5つのポイントを押さえるといいです。
・合格体験記を読み込む
・繰り返し学習
・早めに過去問に接しておく
・最初はわかりやすい教材を選ぶ
・勉強時間を確実に確保する
合格体験記について:おもな診断士講座は、通信も通学も、通常HP上に「合格体験記」や「受講生の声」を掲載しています。一通り目を通せば、勉強内容や試験対策をイメージするのに役立ちます。
繰り返し学習について:個人的には、試験日までの学習スケジュールは、前半はインプット(理解と暗記)、後半はアウトプット(演習と記述)に重点を置くといいと思います。勉強する範囲が広いので、科目ごとにきっちり勉強する方法ですと、一通り勉強した頃には最初の方に勉強した科目の内容をすっかり忘れてしまいます。ですので、最初はテキストや過去問(および解答)を何度か飛ばし読みして全体像を把握するように心がけます。
過去問について:これは診断士に限りませんが、資格取得の勉強では早めに過去問に接して傾向を把握する作業が欠かせません。
過去問は、公式サイトの以下のページで公開されています。
(過去問)
・試験問題(1次・2次)
わかりやすい教材について:科目や分野によって、専門知識が多くとっつきにくい箇所があると思います。そうした箇所が多いと、勉強が挫折する原因になります。なので、最初はわかりやすい教材やテキストを選ぶのがいいです。わかりやすい教材に何度か取り組みつつ、段階的に難易度を上げ、最後に応用・発展知識を攻略するようにすると効率的です。
勉強時間の確保について:診断士合格までに費やす学習時間は1,000時間と言われます。私の場合は、それ以上の時間がかかりました。私は、仕事の後 家に直帰すると寝てしまうため、ファミレスなどで深夜まで勉強するようにしました。このほか、通勤時間を勉強にあてるといったアプローチも、勉強時間を確実に確保するうえで有効です。
■通信教育とスクール
通信系の講座(教材)ですと、「日本マンパワー」や「ユーキャン」などがあります。
資格取得学校では、「TAC」(タック)や「LEC」(レック)などがよく知られています。
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